平成22年第1回定例会一般質問全文

平成22年第1回定例会一般質問:平成22年02月23日(火)

中野区の事業部制の限界について

この問題については、昨年の第4回定例会一般質問で、自民党の市川みのる議員、また今定例会で我が会派の斉藤幹事長も、この問題を取り上げ指摘をしたので、今回は、角度を変えて質問をさせて頂きます。

中野区は、平成16年度から行政運営の改革に努め、目標と成果による区政運営と合わせ、これまで多くの日本の民間企業が取り入れていた事業部制の導入を図りました。各部長には、予算の調整、執行権限や一定の人事権を持たせ、さらには組織のフラット化を図り、それぞれの部の経営がより効率的に進めることが出来るようにする区政運営を行うとしたものです。そして、この事業部制の導入により、各部がPDCAサイクルによって、自主的・主体的に経常事業の見直しや歳出削減の取り組みをしてきました。しかし、昨今のような大変に厳しい経済環境の中では、単に各事業部だけでは判断しづらい局面が数多く析出し、いろいろな矛盾点や弊害が多く見られるようになりました。

昨年の決算特別委員会で、我が会派の「大内議員」の質問にもあった通り、区の予算の積算が甘くなり、信じられない契約落差や安易な予算流用が非常に増えて来たという事実は、否定できません。

さらに、私が何回も危機感を持ってこれまで主張し続けている中野区の歳出に占める人件費、扶助費、公債費の義務的経費の割合は、既に平成20年度決算で、23区の中で最も高い数値となっています。そして平成22年度予算案では、実に58.1%と予算の約6割近くに跳ね上がっています。

また、今回の平成22年度予算編成作業においては、各事業部まかせにするのではなく、経営本部の政策室・経営室・管理会計室のいわゆる6奉行(管理職)が、それぞれ各事業部を担当し、各事業部としての自律的な見直しではなく、各部から出された予算要求額を再調整したと聞いています。この進め方は、事業仕分けのように、一端を見て判断を下すことであり、担当職員に考える機会を与えないことになり、納得度考えると事業執行に必ずしも良い結果をもとらすとは思えません。削減によって各事業部のインセンティブを作り出すルールを徹底し、その果実を事業部の重点施策に活かす流れを作る必要があるのではないでしょうか。

これらの結果から見ても、当初考えていた事業部制により各部が自主的・主体的に経営事業の見直しや歳出削減に取り組むということは、私には不十分であり、機能しているとは思えません。このままでは、事業部制による予算編成は既に限界に来ていることを端的に示しているのではないでしょうか。そこで質問ですが、

  • 適切な事業経費の見積や事業の計画的執行は、各事業部で責任を持って行うべきであると思いますが、これで各部で責任を持ってなされているといえるのでしょうか。
  • また、6奉行の調整は、事業部制の限界から実態に即しての予算編成

    作業を改めて見直したからではないのでしょうか。

  • 現在の事業部制の中で田中区長は問題点をどのように考えられますか。また、導入時に予想していた事業部制と全く違わずに現在もうまく機能されているとお考えでしょうか。

一般的に、事業部制の経営は、民間企業では当てはまりますが、行政・公共経営ではむずかしいと言われています。その最大の理由は、民間経営と行政経営では、その目的が大きく異なるからです。民間経営では、社会的・道義的責任と合わせて利益を上げて行かなければなりません。減収・減益を続ければ、その企業は倒産をします。そして、そこに働く社員は路頭に迷います。しかし、公共経営は違います。その目的は利益を上げることではなく、いかにその住民に対してサービスを高め、高福祉や、安心・安全に住むことが出来るかにあります。さらに、その実現には国や都からの補助金や援助もあり、また自治体がつぶれない限り、そこに働く職員は職を失うことはありません。いろんな面で民間経営とは異なるわけです。

事業部制は、経営の神様と言われた松下幸之助さんが作った松下電器(現在、パナソニック)が日本で初めて(昭和8年)導入し、松下電器の成長を支えてきた仕組みでありますが、現在では、事業部制の弊害もあり、事業部制は取っていません。今後続くであろう厳しい財政状況の中では、今までのような事業部制ではなく、今こそ全庁的な視点から扶助費などを始めとする経常経費のゼロベースでの見直し、削減を行い、行政改革を強力に進めるべきではないでしょうか。そこで、さらに伺います。

  • 平成22年度は、そのような組織を設けることを検討しているのでしょうか。さらに、田中区長が考える新たな公共経営の目的とは何かもお答え下さい。

また、事業部に一定の人事権を持たせることについても、各部が自分の部の利害をそれぞれ優先的に考えるようになり、優秀な人材を長期間抱え込む結果となり、部間同士の定期人事の異動が停滞する障害が生じているとの職員の不満や嘆きが聞こえています。いわゆる「縦割り」行政になってきているわけです。これも事業部制の限界を示しているのではないでしょうか各部の一定のコア人材についても組織全体で計画的に育成・異動を考えるべきであり、厳しい財政状況の中で最大限の成果を上げるためには、各部が人材を抱え込むことがないよう、風通しの良い制度が必要と思いますが、改めて、

  • どのようにしたらよいのか、区長のお考えを伺います。

私は、事業部制で大切なこととして、各部の責任者に「権限と責任」、すなわち、人・物・金を与えたわけですから、すべてを任さなければモチベーション・やる気に繋がらないと思っております。これまでの運営を見ていると、中野区の事業部制は、本当にすべての「権限と責任」を各部に与えているのでしょうか。私には、「権限は薄く、責任だけが重く」としか見えてなりません。権限委譲のルールを作り、よりよい責任をもたせることが、事業部制を機能させることとなるのではないでしょうか。

例えば、今行われているこの一般質問の答弁についても、各部の部長ではなく、ほとんど田中区長自らが答えています。それは、自分がトップなのだから、最後の責任者として答えたいとの気持ちは分からないでもないですが、裏を返せば、副区長や各部長を信頼していないとも取られます。もちろん、田中区長自らが、自民党に対しても丁寧に答えて頂いていることに対しては感謝をしておりますが、事業部制を推し進める上では、トップである区長から「責任と権限」を与えられた副区長や部長が堂々と答えることによって、職員の意識も高まり、緊張感が生まれるのではないでしょうか。

  • このことについて、区長の見解をお聞かせ下さい。

最後に、最近特に分かりづらいと言われている庁内の組織名・職位・名称等について、これまでも何人かの議員も質問しましたが、再度、お尋ねします。現在の区の組織は、名前だけ「分野」という内容的にも分かりづらく、実態は「課」と同じであり、かえって混乱を招いているのではないでしょうか。例えば、都市整備部の中で、「交通・道路管理」と「公園・道路整備」分野がありますが、道路について何故分ける必要があるのか。仮に、区民が「道路」について問い合わせをする時、一体、どちらの分野に問い合わせをすれば良いのでしょうか。違いが、分野の中では分かっていても、区民には分かりません。

さらに管理職の職位についても、何故「課長」「部長」ではなく「副参事」「参事」なのでしょうか。区民には、副参事、参事という職位にはなじみが薄く、やはり課長、部長の方が呼び易く、分かり良いとも言われています。また、実際に副参事ではなく課長と呼んでいる職場もあるように聞いています。組織作りには、「事業部制」と「職階制」という分け方がありますが、問題は、内容それぞれの役割をどうして行くかが大切であり、職位はステイタスでもあり名称や呼称は区民、職員にとって分かり易く親しみ易いのが一番良いはずです。「シンプル イズ ザ ベスト」です

  • この問題についても区民視点で分類する必要があると思いますが、田中区長のお考えをお伺いします。

以上、現行の事業部制の限界について、事例を上げながら指摘をさせて頂きました。こうした職員、区民の声もあるのだということについて是非区長は真摯に耳をかた向け、現在かかえる事業部制の問題を整理し、よりよい制度として頂きたいと思います。

以上でこの項の質問を終わります。