事務の怠慢は遺憾

平成17年06月:私の想うこと

インターネットで知り合った兵庫県赤穂市の無職の少女を、昨年3月から6月にかけ足立区のマンションなどで監禁した容疑で逮捕された(5月11日)無職小林泰剛容疑者を東京地検は6月1日、監禁致傷罪に切り替えて起訴する方針を固めた。

小林容疑者は傷害罪などで懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の判決を受け、青森県の実家に戻って保護観察を受けていた。ところがファックスの送信ミスで青森と東京の保護観察所の連絡が取れず、所在がつかめない空白期間が生じ、その間に少女監禁事件が起きた。南野法相5月18日、「事務の怠慢は遺憾」とのコメントを出した。

私も中野区の保護司を拝命しているが、ファックスの送信ミスなど勿論許されることではない。しかしながら、現在の保護観察制度・・・非行少年や刑務所を仮釈放になった者を対象に、保護観察所が地域のボランティアである保護司と協力して更生を図る制度・・・を早急に改革しなければならないことも事実だ。

まず決定的な人員不足が挙げられる。全国で約630人の保護監察官が毎年7万人以上の保護観察対象者を担当し、実際の生活指導や就職支援などはボランティアである保護司約4万8000人が担っている。都市部では1人の保護観察官が百数十人以上の対象者を受け持っていることも珍しくない。犯罪が多発化多様化する中で経験や能力に差がある1人の保護観察官がきめ細やかな指導をするには限界がある。更に言えば、保護司の善意に頼ってきたシステムも限界に近づいている。

次に保護司の後継者不足と高齢化が挙げられる。現在、更生が期待されるとして仮釈放された受刑者が、釈放後5年間に再び罪を犯し刑務所に収容される再入率は37%。保護観察対象者の3人に1人が再犯者となれば保護司としては気の休まることはない。「なにも他人のために苦労することはない」と思うのも当然で、保護司法で決められた定員5万2500人を4000人近く割り込んでいるのが現状だ。また法務省によると、保護司の平均年齢は63歳で、ほぼ4人に1人が70歳以上を占める。自分の子どもでも『宇宙人』と思う親が昨今増えている中で、保護司と対象者の世代間のギャップはそう簡単に埋められるとも思えない。

保護司と保護観察対象者との面接ひとつをとっても回りの者に気付かれないように注意しなければならない一方で、保護観察中に所在不明になっているケースが、約1480人に上がる(昨年末現在)。保護司の公募制なども含め、新たな人材の確保に努めなければ、早晩、時間的にも精神的にも負担の大きい現行制度が機能しなくなるのは目に見えている。