北京五輪が終わって想う

平成20年09月:私の想うこと

興奮と感動の北京オリンピックも一段落、と思ったら、星野ジャパンのバッシングが連日報じられるようになりました。「金メダル以外いらない」と豪語した星野監督に対し、「ヘボ監督の正体見たり!」という特集を組んだ週刊誌もあるようです。

確かに、ソフトボールで上野投手が二日連続の三連投で413球を投げ、宿敵アメリカを破り頂点に立った後だけに、星野ジャパンの惨敗は期待はずれでした。しかし、国民の期待を裏切ったと非難するのも、まるで手の平を返すようで、少々大袈裟すぎませんか。もし金メダルを獲っていたら、マスコミがどんなに星野監督を持ち上げたことやら目に見えるようです。

もっとも日本に限らず、陸上男子110m障害の1次予選スタートの直前に突然レースを棄権した中国のスーパースター劉翔選手も、ネットなどで「脱走兵」と非難を浴びているそうですが。

星野ジャパンの敗因の一つに、日本選手は五つ星のホテル、対して優勝した韓国選手は選手村の相部屋で、日本選手は甘やかされてハングリー精神に欠けていたという論評がありましたが、これなども「可愛さ余って憎さ百倍」の口ではないでしょうか。

オリンピックに出場するほどの一流のアスリートなら、当然「やる気」のなんたるかも心得ているはずで、例えば女子マラソンで完走できずに力尽きた土佐選手に同情こそしろ、誰が非難できるでしょうか。同様に野球で致命的なエラーをした選手を“戦犯”呼ばわりしても本人が可哀そうです。

ここで、金メダル獲得数と国レベルでの強化費を列挙すると、米国36個、年間約165億円。英国19個、同118億円。オーストラリア14個、同132億円。韓国13個、同65億円。日本9個、同27億円。そして金メダル51個で米国を抜き史上初の1位になった中国は、例によって正確な数字は分からないものの、北京五輪の開催に4兆円以上投じたからには選手強化費も相当な額だったろうと言われています。

つまり、金メダル獲得数も強化費の多寡に比例しているのが現状で、国のスポーツに対する姿勢が表われていると言っても良いのかも知れません。日本政府も五輪閉幕直後の8月26日、メダル獲得が有望な柔道など17競技にナショナルコーチを配置し、スポーツに積極的に関与する姿勢を示しましたが、肥大するオリンピックにおけるメダル争いの過熱化が果たして本当に良いのか、疑問でもあります。

冒頭、「興奮と感動の北京五輪」と書きましたが、純粋で崇高であったはずのオリンピック精神も、今では「ハングリー精神」とはほど遠い商業主義にさらされていることに間違いありません。たとえ「一つの世界、一つの夢」が北京五輪のスローガンだったにせよ、チベットなど中国少数民族にとっては「一つの世界」っていったいなんのことだと反発することが必至のように。

はたしてロンドンの次、2016年に東京でオリンピックが開催されるのでしょうか。もし開催されるとしたら、私達は世界に向かって何をどうアピールすべきでしょうか。北京五輪のような「民族の祭典」だけは避けるべきだと思うのですが。