中野区、ふるさと納税に返礼品を導入

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ふるさと納税」は、例えば自分が生まれ育った故郷の自治体に寄付すると、その分、住民税などが軽減される制度ですが、中野区の田中区長は10月18日、記者会見の席で寄付に対する返礼品を10月20日から導入すると発表しました。

もともとこの制度は2008年、東京など税収の多い都市部から地方へ財源を移すことによって地域間の経済格差を是正する目的で施行されました。同時に故郷を離れてもその地域に貢献することが出来る利点もありました。ただ、「ふるさと」と言うものの、最近では縁もゆかりもない全国各地の自治体に寄付できることから、地方を応援する本来の目的から離れ、返礼品目当てなどさまざまな問題が噴き出してきました。

下の表は「ふるさと納税」による寄付受入れ額と、居住している自治体から寄付先に流出する財源額の差の上位(黒字)と下位(赤字)5を表したもの。(総務省2016年8月2日発表による)

単位は億円、1千万の桁を四捨五入

財源額の差の上位
受入れ額 財源流出額 差額
山形 139 136
北海道 150 23 128
宮崎 103 100
長野 105 96
佐賀 97 94
財源額の差の下位
受入れ額 財源流出額 差額
東京 12 262 ー249
神奈川 20 10 84
愛知 22 75 53
大阪 36 86 50
埼玉 15 52 38

財源流出額は16年度、全国で総額999億円にもなり(前年度の5.4倍)、都道府県別では東京都が最も多い262億円に上がります。一方、受入額が一番多かったのは北海道ですが、差額では山形県がトップです。

中野区の場合、「ふるさと納税」による今年度の減収を前年度の4.4倍の3億6千万円と見込んでいます。今回、中野区が寄付に対する返礼品を導入したのは、地方に対抗して財源の「自衛」を図る意図があります。

上の表は都道府県単位でまとめたものですが、これを自治体単位で見ると、寄付額が最も多かったのは都城市(宮崎県)の42億円、2位が焼津市(静岡県)の38億円、3位が天童市(山形県)の32億円。都城市は地元産の肉や焼酎、焼津はまぐろなど海の幸、天童市は名産のサクランボ、将棋の駒等、いずれも返礼品に人気が集まったものとも考えられます。

では、中野区ではどのような返礼品が付くのか。記者会見で田中区長が挙げたものは、区内企業が造る菓子、中野サンプラザのレストラン食事券、交流のある自治体の特産品として北海道産の米、青森県産の牛肉のハンバーグ、福島県喜多方市の地酒セットなどなど。返礼品にかける経費は寄付額の約3割を見込んでいます。

「ふるさと納税」の当初の目的は「ふるさと」である地方の活性化を図ることでした。寄付はそのためのものでした。しかし今や人気の自治体は寄付金額の7〜8割を返礼品に当てているのが現状です。本来、自治体の財源は住民サービスに充てるべきもので、せっかくの受入れ額から返礼品に大半を費やすのなら、どこか本末転倒ではないでしょうか。